風邪とインフルエンザ

2013年12月05日

質問;インフルエンザは風邪ですか?

答え;はい。風邪のひとつで、原因がインフルエンザウイルスだということです。昔は流行性感冒と言っていましたね。

 

質問;怖いイメージがありますが?

答え;マスコミが作り上げたものです。10年以上前まではインフルエンザ診断のキットもなく、タミフルなどの薬もなかった時代にも毎年インフルエンザは流行っていましたが、特にインフルエンザの検査をすることも薬を飲むこともなく治っていました。

 

質問;脳症になったり、突然死したりするのが怖いです。

答え;脳症の原因は強い解熱剤を使った場合、もしくはタミフルなどの薬を使ったほうが確率は上がりますので当院では出来れば使いたくないです。突然死もタミフルが原因です。

 

質問;タミフルなどを使うと早く治るのでは?

答え;そう宣伝されていますが実際は、熱が早めに下がる傾向になるみたいですが治ったわけではなくウイルスは体に残っていることが解りました。ですから学校などでは解熱後2日で登校可能だったのが発熱後5日経たないと登校できなくなりました。

 

質問;インフルエンザでもほっておけば治りますか?

答え;身体には自然治癒力があります。自力で治った場合は体に免疫が着くのでその後しばらくはかからなくなります。タミフルなどを使用した場合は体に免疫が着きにくいのでまたかかりやすくなります。

 

風邪をひいて寝込んだ時、健康のありがたさが身に沁みます。予防するに越したことはありませんが、いくら完璧に予防したとしても、必ずいつかは風邪を引きます。なっても治るし、健康のありがたさはわかるし、「たまにはかかってもいいや」とのんきに構えられたら幸せですね。今の世の中そんな余裕がないかな。

 

 

メタボリックシンドローム

2013年11月01日

質問;メタボリックシンドロームについて教えてください

答え;腹囲が男性85㎝以上女性は95㎝以上が認められ、さらにHDLコレステロールが40以下、中性脂肪が150以上、血圧が130以上、空腹時血糖値が110以上のうち2つが当てはまると上記の診断となります。

 

質問;このシンドロームになると何が危険になるのですか?

答え;肥満があり、それに加えてメタボになると動脈硬化が進み「心筋梗塞、脳梗塞になる危険性が高まる」と言われています。

 

質問;予防 または メタボ の診断が下されたらどうすれば?

答え;一般的には「食生活を改善し、運動して、痩せなさい」ということになります。

質問;先生の意見は?

答え;メタボリックシンドロームの診断、予後についての話はおかしいとある医学専門誌では論じております。またそれには、少し太めの方が長生きするという統計もあります。さらにコレステロールは高めのほうが、「長生きする、脳梗塞になっても重症にならない」と証明されています。また日本人は欧米人に比べて心筋梗塞になる頻度は低く、更に女性に関してはかなり低いというデータがあるからです。

ラジオの健康番組でメタボリックシンドロームになったら大変だと騒いでいました。確かに太っているとなりやすい病気もありますが、痩せていると体力や抵抗力が落ちるという事実もあります。美味しいものを食べるという人生の楽しみも重要です。さらに太り気味の方が長生きするという統計もあります。過度に心配しないで一度しかない人生を楽しみましょう。でも、ほどほどにね。

 

 

肺炎

2013年10月07日

質問;テレビによると死亡原因の第三位が肺炎だそうです。ワクチンがあるそうですが。

答え;「肺炎」のワクチンではなく、肺炎球菌と言う菌に対するワクチンです。

 

質問;具体的に教えてください。

答え;肺炎の原因は大きく分けて二つあります。

一つ目は日常生活でかかる肺炎です。風邪をこじらせてかかる肺炎、またはいきなり肺炎の原因菌が悪さをし、発症するタイプです。この原因の菌の一つが肺炎球菌です。それに対するワクチンがあります。

二つ目は入院中に起こる肺炎です。上記の肺炎とは原因になる菌は異なります。また食べ物を誤嚥(間違って食べ物が肺に入る)して起こる肺炎もあります。

 

質問;肺炎にかからないためにはどうすればいいですか?

答え;肺炎には原因の菌、状況があります。一番肝心なのはご自身の身体の抵抗力が落ちたときにかかるということ。ご自身の抵抗力が普通ならば肺炎にはまずかかりません。例えば風邪気味なのに無理して雨の中肉体労働をするとか、他に持病があるのに無理した労働をしたとかです。何にもしてないのにいきなり肺炎にやられることはありません。

 

質問;では肺炎はなぜ死亡原因第三位なのですか?

答え;体が弱って入院し、誤嚥性の肺炎で亡くなられる方が非常に多いとからだです。

 

「65歳になったら肺炎球菌ワクチンはやっておかないと心配」だと思わせるテレビ広告が目につきます。私の臨床経験では誤嚥性肺炎の頻度が圧倒的に多く、典型的な肺炎球菌の肺炎にお目にかかることはめったにありません。めったに起きないことをさも起こることのようにあおりたてて心配につけこみ自分の商品を売りつける・・霊感商法とあまり変わらない気がします。

 

 

熱中症

2013年09月03日

質問;テレビでは熱中症にならないように水分を摂れと放映してますが、実際なかなか水分を取ってくれません・・。(家族の談)

答え;確かに水分補給は大切ですが、暑さ対策、風通しをよくする、室温を管理する、等のほうが大切です。高齢者は基本的に、体の必要水分量は若い人より少ない、また汗をかき過ぎることは少ないので、ご家族が期待されるように水分を取らないのが一般的です。

 

質問;冷房を嫌います。

答え;冷房の冷気はかなり高齢者の深部に到達し不快を与えるようです。可能であれば直接冷気を当てないように、風は自然な風が理想です。真夏なのにコタツに入っている方もいます。ちょっとビックリ。

 

質問;熱中症対策は?

答え;体温が37度以上になって、少し元気がないなと感じたら、保冷剤などをタオルに巻いてで首の後ろ、わきの下、太ももの付け根などを冷やす、そして水分補給(口から無理な場合は点滴)です。

 

質問;命に関わる状態の目安はなんですか?

答え;体温が上がる(39度以上)、意識が薄れる(呼びかけても応じない)などです。意識がしっかりしていて、体温が37度程度であれば安心です。

 

テレビや雑誌、ネットなどで情報が溢れているお蔭で病気に対しての知識もかなり普及し、情報に振り回され自己判断して心配している方が多くなりました。しかし、テレビなどは小さい事を大げさに言って視聴率をあげるのです。私は病気を専門的に勉強し、大病院で何年も実施し、毎日そのことだけをやっているプロです。なので、もっと私の言う事や体を信じて、安心して楽しく違うことに時間を使って生きてもらいたいなと思います。不安な事があれば、何回でも相談してくださいね。

 

健康でいるために

2013年08月14日

質問;ためして〇〇、〇〇の健康、たけしの〇〇 などの健康番組を見た後、「自分の症状は〇〇病かもしれない」「もし〇〇病になったら大変だ」と不安になります

答え;テレビや雑誌は万が一の一を強調しておもしろおかしくしています。どうしても心配ならかかりつけ医に相談してください。「大丈夫ですよ」と答えが返ってくるはずです。

質問;健康診断を毎年受けても不安です。半年に一度と増やしたほうが良いでしょうか?

答え;1年に1度でよいかと思います。あまり心配したりするとその精神的ストレスから体調不良になることもあります。なにか心配な事があれば相談してください。

 

質問;健康食品やサプリは何を飲めば良いでしょうか?

答え;健康食品やサプリは「医薬品としては認められない効果の少ないまたは効果の不確かなもの」という定義です。飲んでも支障はないと思われますが、宣伝文句を鵜呑みにしてそれさえ飲めば大丈夫というものは残念ながらないと思います。

 

質問;私の身体は健康(大丈夫)でしょうか?

答え;朝起きて、お腹が空いている。食事が美味しい。笑顔や幸福感などの日常生活が宜しければ大丈夫です。100才までぴんぴんしていたいと思うあまり、病気におびえ、精神的にストレスを感じると逆効果です。運命を受け入れ、のびのびと毎日の生活を大切に過ごしてください。

 

スポーツ番組で、ある選手が「自分の意識がの状態の時が一番成績がよい、体の位置とか向きとかを意識している時は成績が悪い」と語っていました。健康についても同じだと思います。自分の身体の事について意識していない状態が健康な状態であると、中途半端な知識はかえって自分の精神を惑わせてしまいます。知らぬが仏。こんな言葉もあります。

医者と患者の信頼関係

2013年07月02日

質問;前回効いた薬を今回も出してほしいのですが?

答え; その薬が今回も本当に必要かどうか?様々なデータから必要がなさそうだと判断した場合は出さない事もあります。

 

質問; 大学病院の先生からはもっとたくさん処方してもらっているのですが?

答え; 当院は、自然治癒力の観点から、極力最小限の薬を厳選してお出ししています。医学的にも効果が高く、副作用のリスクより効能(メリット)が必要と判断した薬のみお勧めしております。

 

質問;信頼関係はどうして築けますか?

答え十二分に話し合うことだと思います。こちらも誠意をもって説明させていただきます。分かりづらい場合には何度でもご質問ください。自分の持っている常識と異なることを言われたときには特に話し合う時間が必要です。

 

質問;薬が少なくなることが不安です

答え;必要以上に薬をたくさん飲んでいる方が多いです。減らすことに対して「不安感」があると思いますが、「勇気」を持って自分の身体を信じて薬を減らしてみてください。当院ではどうしたら安心していただけるか、どうしたら最新の医学を伝えられるかを常に考えています。そして小さな医院だからこそ、一人ひとりきめ細かく対応できます。

 

院長のひとりごと

ある医者から出された薬が効かないからといって別の医者にかかる話はよくあります。でも「薬が効かなかった」ともう一度同じ医者に話すことで、医者は患者さんの体質や体調、お身体に相性の合う薬もわかります。そして患者さんの性格や希望を理解して、「信頼関係」という大きな絆ができていきます。これを大切にしたいですね。

 

 

高齢者の延命

2013年06月06日

質問;息も心臓も止まっています。人工呼吸、心臓マッサージをしますか?

答え;この問いに「ハイ」とお願いする場合は最近めったに見られません。無意味な延命行為と考える方が増えました。

 

質問;口から食べることが出来ません。胃に直接管(胃ろう)を入れて延命しますか?

答え;多くの方が迷うところです。胃に管をいれて栄養をそこから入れれば長生きができます。しかし・・これは延命行為では?自分の運命を自分で決められなくなります。

 

質問;水も飲まなくなりました。点滴して欲しいのですが?

答え;多くの方が迷うところです。点滴ぐらいしてほしいと…。しかしご自身の意志で点滴を希望されるというよりは家族が希望されることがほとんどです。これも延命行為では?

 

質問;口から食べることが出来なくなりましたが、僅かの水と栄養ですごさせたいのですが?

答え;結構です。老衰は徐々に食欲がなくなり眠るように最期を迎えます。こういう形がいちばん自然に近い、自分の身体と意志で自分の運命を決められるからです。

 

質問;ぴんぴんころりが理想なので、延命はしたくありません。

答え;延命はしたくないというのが一般的に多くの方希望しているようです。そのことを主治医にきちんと伝える事が必要です。

 

自分の意志で自分の事が出来なくなったら、おむつでは生きたくない、口から食べれなくなったら、生きたくない、と自分では思う反面、自分の親などに対しては少しでも長く生きてほしいと願う気持ち、よくある話です。長生きのための点滴、胃ろうからの栄養は自分では決められず、他人が決めなければいけない現実。こういう状態を延命行為だと私は思います。それが良いのか、よくないのかはその人の考え方しだいです。

我が家(住宅型有料老人ホーム)

2013年05月06日

質問;他の老人ホームとの違いはありますか?

答え;一般的に老人ホームに入居すると決まり事の中での生活が始まります。起床時間、食事、風呂、イベント、血圧、食事の量や内容や水分、排便尿量、風呂などが管理され、体調が悪くなると半強制的に入院となります。今まで食べたい物を食べたい時に食べていた自由な自宅での生活から一変します。そして一番危険なのは、このように受け身の生活が続くと、意欲や体力が低下してしまうという事です。ここ上田医院付属「我が家中国分」の特色は、なるべく自宅にいるときの生活を続けていただくよう配慮しています。

質問;一人では何も出来ないので管理してもらいたいのですが?

答え;まるきり人任せでは出来る事も出来なくなります。出来ることはなるべく自分の力でしていただだく、できない事はもちろんヘルパーがそっと支えます。

 

質問;食事については?

答え;特に病的に危険のない範囲で、自分が食べたいと思う物を、空腹を感じたときに、自分の力で食べる事がよいと考えています。

 

質問;癌を患っている場合も入れますか?

答え;我が家を終の棲家として考えています。お入りいただき安心して過ごせるように努めていきたいと考えています。(ホスピス機能)

 

我が家がオープンしてまだ1か月ですがすごい事が起きました。2年間、他の施設では全介助、意思の疎通ほぼ取れないと言われていた96歳の方が当ホームに来てから意思表示が出てきてついに「お腹すいた」と言い、自分の力で食事をしたのです。ご家族は「2年前のおばあちゃんに戻ったみたい」と感動。食べさせられるのではなく、食べたいから食べる。私も人間の本能の強さに感動しました。

 

心配だから検査する

2013年04月06日

質問;検査をする意味について教えてください。

答え;一つ目はスクリーニング検査といって一通り検査して何か異常が引っかかってこないかどうかを見る検査。二つ目は治療目的があってその変化をみる検査、または治療方針を決める検査など、筋道を決める目的のある検査です。

質問;90歳です。しりもちをつきました。腰が痛いので検査してください。

答え;この場合の検査は後者の、目的がある検査にはいります。しかし打撲でも骨折でも検査の結果によらず年齢から考えて手術せず、安静で治るのを待つという対処がよりよい選択です。治療方針が決まっている場合は検査をする必要性が少なくなります。

 

質問;結果が同じでも今後のために検査したほうがいいのでは?

答え;患者さんの、また家族の心配はわかりますが、検査するために使う疲労や苦痛を考えると、一刻も早く安静にするほうが得策と考えます。しかし場合によりますので、医者の専門的な見解も聞いていただければ幸いです。

 

我々も皆様が感じる「心配」と日夜格闘しています。当院では様々な知識、経験から判断し、積極的な検査はしておりませんが、必要性を感じたときは検査のお願いをしております。

 

研修医の頃、患者さんの状態が心配で毎日検査をしていました。ちょっとでもデータに異常があると、心配で。先輩の医者からデータばかり見ずに患者さんの自覚症状を聞く、身体にふれてそこから感じる診察能力、患者さん自身からでてくる雰囲気(重症感などの)を察知する能力の方が大切だと教えられ、実践し、少しずつ検査の頻度が減りました。データより五感を総動員した感じる能力の方が大切だと思いました。

 

 

老衰と食欲の関係

2013年03月23日

質問;老衰(ろうすい)(年をとると)食欲がなくなりますか?

答え;老衰とは歳をとり自然に衰えていく状態です。老衰すると若い時と異なり食べる量は減っていきます。「食欲がない」のはつまり、体が食事を欲さなくなるのです。

質問;食欲がないのは病気だと思っていました。病気でなくても食欲がなくなるのですか?

答え;もし胃の病気なら、食べると痛いとか、食べたいけど食べると吐く、という訴えになります。しかし、老衰してくると食欲がなくなるのは自然な事です。

 

質問;無理に食べさせると少しは元気になりますか?

答え;ある程度体力を維持できるかもしれません。しかし吐いて誤嚥して肺炎になる可能性が高まります。

 

質問;老衰となったら家族はどうすればよいですか?

答え;病気ではなく老衰のための食不振の場合に「がんばれ、食え」は本人にとって苦痛だと思います。残り少ない時を一緒に過ごし、思い出話などが出来れば素敵ですね。

去年の夏、あの暑い日々が続く中で、冷房なし、こたつで過ごした老女がいました。また冷房はすこしついているもののやはりこたつとはんてんで過ごしたおじいさんがいました。周りはいろいろ心配していましたがどこ吹く風で、みな今年も元気です。食事量はそのときそのときで変わりました。食べない日々が続く日もありましたが乗り切りました。少し食事量が減ると「点滴」「脱水」と騒がしいこの頃ですがあの方たちの生き様は立派に映りました。