「呆け」の疑似体験から解ること

2020年10月03日

体験1:学生時代、昼ごはん後の授業でついつい転寝し、ふと我に返りつつある時、「あれ、今、自分は、どこで、何をしていたのか、さっぱり解らなくなった」瞬間があった。そして不安になった。

 

体験2;ある旅先でちょっと意識が此処にあらずの瞬間(アイスを食べながらボーとしていた)、目の前に長男が出現、ちょっとの間 「あれ、あなた誰だっけ??」と思った瞬間を経験しショックを受けた。

体験3;「ぼー」と車を運転していたら、自分が今、何をしに、どこに行こうとしているのか、さっぱり解らなくなった瞬間があった。そして不安になった。

 

解説;いわゆる「認知症」の基本的な状態として、意識が今現在に集中していない、つまり心ここにあらず、の状態になっていることが基礎にあります。自分の居る世界が、世間と離れている時(認知症の方の全てがこの状態)には現実世界に戻るのにかなりの時間を要するのです(場合によっては戻れない)。そして現実世界に連れ戻そうとすると不安になります。ですから認知症の人に声を掛けるときには ゆっくり 時間をかけて 顔をみながら 話しかけてください。 安心感を醸し出してください。

 

いわゆる「認知症」の根本は、現実への注意障害、つまり心ここにあらずの状態があります。だからボーとしていたり、夢見ながら過ごしていたり(妄想と言われる)、そんな自分が嫌で何とか取り繕うとしたりするのです。この現実世界から離れていく状態とは、つまりこの世とのお別れの前段階に来ていると考えられないでしょうか?これが呆ける意味なのではないでしょうか?