医師の発言から読み解く本音

2016年02月04日

発言;とりあえずこの薬をだしておきますから・・飲んでみたら。

答え;現時点でどうしても必要とは思われないが、患者さんが薬を望んでいることが多いので、とりあえず 出しときますか・・・・・・という意味。必要は必ずしもないと思っている。

 

発言;なんでこんなになるまでほっておいた・・・

答え;もし前に診てもらっていた医師がいる場合には「あてつけ」。いない場合には、あまりに症状がひどいので「手に負えない」と思っている、何しろ治せないかもしれないので誰かのせいにしたいと思っているときの発言。

 

発言とりあえず検査をしましょう。

答え;この時期で診断がついていないので、何か検査で引っかかったらよいなと思っている。

発言;年のせいでしょ

答え;なかなか治らないので上手に病気と付き合っていってもらいた    いと思っている。以前はこの発言に世間は批判的であったが最近は容認されてきている気がする。

発言:あと3年もてば(寿命は?と聞かれたとき)

答え:特に根拠はない。1、2年だと短いし4年だと縁起が悪いし5年だと長い気がする。3という数字が心地よい・・その程度の根拠。

とりあえず、一応、飲んでおく薬(点滴を含めて)や検査って本当は必要がないかもしれない。もっとはっきり言うと、無駄なことが多い。そうは思いつつもお土産なしで帰すのもどうかと思って(こちらの利益にもなるし)していくうちに、いつの間にか患者さん側でもそれが当然やるべきものと勘違いしていく。これが無駄な医療が定着したいきさつだと思う。自信を持って必要ない薬や検査を止めていくことが必要だと思います。

 

 

終末期をどう過ごすかについて

2016年01月07日

質問;BSC=「緩和ケア」とは治療の見込みがない人の医療ですよね?

答え;緩和ケアとは一般的に「痛みなどを緩和する(やわらげる)等、日常生活を快適に過ごすための治療」を言います。

 

質問;食べなくなったので心配です。なんとか食べさせる方法は?

答え;「食べない」のは「食べたくても食べることが出来ない」のではなく「体が少ない食事量しか欲しない、または食べる事を欲しない体になった」と理解すべきです。ご家族的には食べてほしいと願う気持ちは理解できます。「食え、食え」の声掛けは本人を苦しめます。最後の場をともに過ごす、手をにぎったり、マッサージしたり、昔話に花咲かせることの方が何倍もよい過ごし方です。

 

質問;点滴していただけますか?

答え;この時期の点滴には罪の方が大きいです。点滴の栄養は身体が受け付けないばかりか癌に取られます。水分は浮腫みとなって身体全身にたまっていき、体を苦しめます。

質問;脱水になるのでは?

答え;世間的には負のイメージですが、人間は自然な状態で過ごせば最後は必ず脱水(枯れていく)になります。脱水になると眠くなり、苦痛も軽減させます。より自然に逝くことができます。

ホスピスケア学会から抜粋

 

五分五分の賭けに全財産(生活)をつぎ込む、と言ったら笑われるのがおちです。ところが癌治療となるとそうはいきません。残された時間や貴重な財産をかけ、社会生活を投げうって、治療に専念し闘病生活を始めます。完全復活を願って人生の賭けに出ます。でも癌を完治する治療法はいまだに確立されていません。そんな時は緩和ケアという治療方法を選択することも1つの生き方だと思います。

 

 

肺炎(球菌)ワクチンについて

2015年12月07日

質問;肺炎ワクチンについて教えてください。

答え;「肺炎ワクチン」はテレビで盛んに騒がれていますが正式には「肺炎球菌ワクチン」といいます。肺炎球菌の予防のワクチンです。

 

質問;ワクチンで肺炎を予防したいのですが

答え;肺炎になる菌はいっぱいあります。例えば肺炎桿菌、ブランハメラ菌、インフルエンザ菌、ブドウ球菌・・・。その中のたった一つの菌のワクチンです。ですからこのワクチンを打っても他の菌の肺炎にはなる可能性はあります。

 

質問;死因の第3番目だと言っていますが?

答え;年とって入院して肺炎で亡くなった、とよく聞きます。実は入院中に起こる肺炎の大部分は誤嚥性肺炎の可能性が高いです。これは食物残渣が気管から肺に入って起こる肺炎です。残念ながらワクチンは無効です。

入院中に起こる肺炎の原因菌が肺炎球菌であることはまれです。また肺炎疑いで検査(喀痰)をして肺炎球菌が検出されることは非常にまれで全体の2%程度とのことです。非常に少ないです。

65歳から70歳の方へ。肺炎で入院したことがある人はいますか?おそらくほとんどの人はないと思います。昔は炭坑などで働く人たちが、過労から肺炎になることはあったかもしれないが、今は衛生環境よし、風邪ひいてもすぐに休める環境であれば肺炎にはなりません。

ほとんど罹らない肺炎の予防に意味はあるのか僕には疑問です。

 

インフルエンザについて

2015年11月07日

質問;インフルエンザとはなんですか?

答え風邪のひとつで原因がインフルエンザウイルスだということです。呼吸器を侵すため肺炎になることがあります。

 

質問;脳症になったり、突然死したりするのが怖いです。

答え;脳症の原因は強い解熱剤を使った場合、もしくはタミフルなどの薬を使ったほうが確率は上がりますので当院では出来れば使いたくないです。突然死も薬害の可能性が高いです。

 

質問;タミフルなどを使うと早く治るのでは?

答え;そう宣伝されていますが実際は、熱が早めに下がる傾向になるみたいですが治ったわけではなく、ウイルスは体に残っていることが解りました。ですから学校などでは解熱後2日で登校可能だったのが発熱後5日経たないと登校できなくなりました。

 

質問;インフルエンザでもほっておけば治りますか?

答え;身体には自然治癒力があります。自力で治った場合は体に免疫が着くのでその後しばらくはかからなくなります。タミフルなどを使用した場合は体に免疫が付き難くなるのでまたかかりやすくなります。

 

質問;ワクチンは効きますか?

答え;残念ながら今のところ重症化を防ぐと言う根拠は乏しいです。

インフルエンザと診断されると学校にも、会社にも5日は来るなと言われる時代となりました。冬場に熱が出たらほぼインフルエンザと考えてよさそうです。薬を使っても早く治る(ウイルスが消失する)わけではないので、5日間、神様がくれた休養日だと思って、薬の代わりに美味しいものを食べてゆっくり寝て過ごす方が賢明かなと思います。

 

老衰について

2015年10月17日

質問;老衰してくると起こる現象について教えてください。

答え
①1日なにもしないで過ごせるようになる。つまり日常の活動量が減る。
②痩せてくる。食事をしっかり摂っていても痩せてくる。少ない食事で過ごせるようになる。
③現実世界から離れていく。周囲に無関心になるためにうすらぼんやりした雰囲気となる。
④不要なものが出て行く。特に終末期には多量の尿、便が出る。高熱を出すこともある。エネルギーを使い尽くして逝くのだと思う。


質問;老衰は病気ですか?

答え;違います。

 

質問;ほとんどの人は病気で死ぬのではないですか? 肺炎とか心不全とか・・。

答え; 老衰状態の人に過度の医療行為を施した場合にはかえって病気を併発します、例えば無理やり食べさせると誤嚥をし、その結果肺炎となります。点滴をすれば心臓に負担がかかり心不全をおこします。

 

※老衰期が明らかになってきたら過度な医療行為は慎んだほうが楽に過ごせます。

 

僕が死亡診断書に死因を書くとき、いつも気にかけていることがある。それは自分の人生を全うした人たちに尊敬の念をもって「老衰」と診断することだ。癌などの病気が前面に出てきた人に○○癌と書くことは多数あるが、心の中ではいつも「老衰」ですよと思っている。
命には必ず寿命があり寿命を超えて生き続ける事は出来ない。「老衰」は最期まで寿命をやり遂げた「勲章」だ。そして家族にもそう伝えている。「老衰の人と同じような経過でした」と・・・

 

2015年06月08日

質問;明らかになっている有効な早期発見早期治療ついて教えてください。

答え;血管に血の塊が詰まる病気は早期発見が有効です。心筋梗塞に対する治療、一部の脳梗塞に対する治療、その他の塞栓症など。

片頭痛や痛風発作に対する治療;発作の初期に薬を飲めば発作が軽くなります。

質問;健康診断を受ければ寿命が延びますか?

答え;どうもまだ明らかになっていません。仮説段階です。

 

質問;癌検診も同じですか?

答え;はい。胃癌、肺がん、大腸がん、乳がん、子宮がん、卵巣がんなどのいわゆる固形がんと言われているものは、残念ながら早期発見が有効かどうかはまだわかりません。早めに見つかって治った人が宣伝されますが、宣伝されない多くの人が早期に発見されてもやはり癌が進行していくようです。結局多くの人が検査をするようになりましたが死亡人数は減っていない状況です。

 

質問;認知症の早期発見はどうですか?

答え;治療薬は何種類かありますが効果は非常に限定的です。大多数の人は進行します。早く見つける事が良い事か疑問です。

 

もし自分の将来の病気の確率が予測できるようになってしまったら、しかし解ったところで運命を変える事が出来ないとしたらどうしますか。癌や認知症などまだ完全に治療法が確立されていないまま、盛んに予測をしていますが、早く知るだけで治らないのでは、単に苦悩が長くなるだけのような気がします。まだはっきりしない医学にすがらず、身体の運命を受け入れて覚悟を決めて毎日精一杯幸せを感じて生きる生き方を選ぶのもまた一つの選択です。

 

 

認知症(痴呆) について

2015年05月08日

今回は 認知症(痴呆) についての一考察。

その1;こだわりが消える

その心は; 私は絶対に呆けたくない、寝たきりになりたくない、などのこだわりから解放され、「老い」を心配しなくなります。

 

その2一人でいても飽きない

その心は; 周囲に無関心になるので、自分の世界に入っていることが多くなります。一人で1日中忙しく誰かと会話したり、仕事したり。しかし逆に関心を引きたくていろんな周囲を困らせるようなことをすることがあります。そこには不安があります。安心させてあげましょう。

その3過度な苦痛が軽減される

その心は;認知症になると、体に対しての過度の関心が薄くなり、痛み、不安などが軽減される傾向があります。そのことから他の病気のための通院をする必要がなくなり、結果として薬も減るようになります。

 

その4笑顔が素敵になる

その心は;一昔前は「恍惚の人」などと言われたように、なにか憑き物が取れたような、わだかまりが消えたような、現世の苦しみから解き放たれたような、そんな感じを受けます。たまにのぞかせる満点の笑顔に遭遇することでしょう。

※認知症になると、なにもかもおしましだという風潮がありますが、見方をかえれば、老いの一部として受け入れ、上手に付き合っていけると思います。

認知能力の落ちた高齢者とうまく接せるための5か条

1:年長者への敬意を示す
2:ゆったりした時間を共有する
3:彼らの認知機能を試さない
4:好きな事、できる仕事をしてもらう
5;情動的コミュニケーション

大井 玄先生の本からの抜粋です。言葉のつながりではなく温かい感情で安心感を持たせてあげればよいのですね。

 

検査

2014年06月05日

質問;検査をする意味について教えてください。

答え;一つ目はスクリーニング検査といって一通り検査して何か異常が引っかかってこないかどうかを見る検査。二つ目は治療目的があってその変化をみる検査、または治療方針を決める検査など、筋道を決める目的のある検査です。

 

質問;90歳です。しりもちをつきました。腰が痛いので検査してください。

答え;この場合の検査は後者の、目的がある検査にはいります。しかし打撲でも骨折でも検査の結果によらず年齢から考えて手術せず、安静で治るのを待つという対処がよりよい選択です。治療方針が決まっている場合は検査をする必要性が少なくなります。

 

質問;結果が同じでも安心のために検査したほうがいいのでは?

答え;患者さんの、また家族の心配はわかりますが、検査するために使う疲労や苦痛を考えると、一刻も早く安静にするほうが得策と考えます。しかし場合によりますので、医者の専門的な見解も聞いていただければ幸いです。

 

我々も皆様が感じる「心配」と日夜格闘しています。当院では様々な知識、経験から判断し、積極的な検査はしておりませんが、必要性を感じたときは検査のお願いをしております。

 

安心のために検査をしてくれないかとよく相談されます。検査をすると結果がでるまで不安な気持ちがいっぱいになる経験をお持ちになる方は多いと思います。検査結果が全く正常の場合はとりあえず安心?しますが少しでも正常値から外れたデータがあると不安が募ります。そしてそれをまた検査、そして検査。少しでも異常があれば治したいとの思いは理解できます。しかしご自身の五感で特に異常を感じなければ体は健康であると信じてみる方が気持ちが楽になる気がします。

 

健康でいるために

2013年08月14日

質問;ためして〇〇、〇〇の健康、たけしの〇〇 などの健康番組を見た後、「自分の症状は〇〇病かもしれない」「もし〇〇病になったら大変だ」と不安になります

答え;テレビや雑誌は万が一の一を強調しておもしろおかしくしています。どうしても心配ならかかりつけ医に相談してください。「大丈夫ですよ」と答えが返ってくるはずです。

質問;健康診断を毎年受けても不安です。半年に一度と増やしたほうが良いでしょうか?

答え;1年に1度でよいかと思います。あまり心配したりするとその精神的ストレスから体調不良になることもあります。なにか心配な事があれば相談してください。

 

質問;健康食品やサプリは何を飲めば良いでしょうか?

答え;健康食品やサプリは「医薬品としては認められない効果の少ないまたは効果の不確かなもの」という定義です。飲んでも支障はないと思われますが、宣伝文句を鵜呑みにしてそれさえ飲めば大丈夫というものは残念ながらないと思います。

 

質問;私の身体は健康(大丈夫)でしょうか?

答え;朝起きて、お腹が空いている。食事が美味しい。笑顔や幸福感などの日常生活が宜しければ大丈夫です。100才までぴんぴんしていたいと思うあまり、病気におびえ、精神的にストレスを感じると逆効果です。運命を受け入れ、のびのびと毎日の生活を大切に過ごしてください。

 

スポーツ番組で、ある選手が「自分の意識がの状態の時が一番成績がよい、体の位置とか向きとかを意識している時は成績が悪い」と語っていました。健康についても同じだと思います。自分の身体の事について意識していない状態が健康な状態であると、中途半端な知識はかえって自分の精神を惑わせてしまいます。知らぬが仏。こんな言葉もあります。

我が家(住宅型有料老人ホーム)

2013年05月06日

質問;他の老人ホームとの違いはありますか?

答え;一般的に老人ホームに入居すると決まり事の中での生活が始まります。起床時間、食事、風呂、イベント、血圧、食事の量や内容や水分、排便尿量、風呂などが管理され、体調が悪くなると半強制的に入院となります。今まで食べたい物を食べたい時に食べていた自由な自宅での生活から一変します。そして一番危険なのは、このように受け身の生活が続くと、意欲や体力が低下してしまうという事です。ここ上田医院付属「我が家中国分」の特色は、なるべく自宅にいるときの生活を続けていただくよう配慮しています。

質問;一人では何も出来ないので管理してもらいたいのですが?

答え;まるきり人任せでは出来る事も出来なくなります。出来ることはなるべく自分の力でしていただだく、できない事はもちろんヘルパーがそっと支えます。

 

質問;食事については?

答え;特に病的に危険のない範囲で、自分が食べたいと思う物を、空腹を感じたときに、自分の力で食べる事がよいと考えています。

 

質問;癌を患っている場合も入れますか?

答え;我が家を終の棲家として考えています。お入りいただき安心して過ごせるように努めていきたいと考えています。(ホスピス機能)

 

我が家がオープンしてまだ1か月ですがすごい事が起きました。2年間、他の施設では全介助、意思の疎通ほぼ取れないと言われていた96歳の方が当ホームに来てから意思表示が出てきてついに「お腹すいた」と言い、自分の力で食事をしたのです。ご家族は「2年前のおばあちゃんに戻ったみたい」と感動。食べさせられるのではなく、食べたいから食べる。私も人間の本能の強さに感動しました。