患者学(よりよい関係を目指して)

2016年03月20日

質問;風邪をひいたので風邪薬を下さい。

答え;よく耳にする発言です。しかし実は大きな問題があります。

 

質問;どうもよくわかりませんが・・・・?

答え;実は風邪ではなく、扁桃腺が腫れる扁桃腺炎であったり、だるいから風邪であると思っていたら重篤な病気が潜んでいたりするかもしれません。自己診断は危険です。

 

質問;ではどうすればよいのですか?

答え;まずはご自身の抱えている症状を詳しく伝えてください。例えば、熱がある、咳が出る、喉が痛い、だるい、鼻水がでる、下痢をしている、気持ち悪い、などなどです。

これらの症状から医師が適切に総合的に診断します。

発言;頭が痛いのでCT(MRI)検査をしてください。

答え;やはりよく耳にしますが問題です。患者さん自身が脳の疾患を疑って(診断して)検査が必要だと判断しています。頭痛の大半は頭の表面の痛みです。よく聞くと解りますので安心してください。無駄な検査をしなくて済むかもしれません。またCT検査には放射線の被爆から癌になる可能性があり極力避けたいと思います。

テレビやインターネットで調べるといろんな怖い病気がでてきます。すると不安、恐怖が増します・・。


昨今、インフルエンザの検査をしてほしいと医院を訪れる人が増えました。その元になっているのはインフルエンザに対する恐怖、不安な気持ちからだと思います。インフルにかかると薬を飲まないと治らないと思っている人もいるぐらいです。インフルエンザは風邪のひとつで基本的には自然に治癒するものであるという基本事項をしっかり頭に入れておればもう少しおおらかに過ごせると思いますがいかが。

医師の発言から読み解く本音

2016年02月04日

発言;とりあえずこの薬をだしておきますから・・飲んでみたら。

答え;現時点でどうしても必要とは思われないが、患者さんが薬を望んでいることが多いので、とりあえず 出しときますか・・・・・・という意味。必要は必ずしもないと思っている。

 

発言;なんでこんなになるまでほっておいた・・・

答え;もし前に診てもらっていた医師がいる場合には「あてつけ」。いない場合には、あまりに症状がひどいので「手に負えない」と思っている、何しろ治せないかもしれないので誰かのせいにしたいと思っているときの発言。

 

発言とりあえず検査をしましょう。

答え;この時期で診断がついていないので、何か検査で引っかかったらよいなと思っている。

発言;年のせいでしょ

答え;なかなか治らないので上手に病気と付き合っていってもらいた    いと思っている。以前はこの発言に世間は批判的であったが最近は容認されてきている気がする。

発言:あと3年もてば(寿命は?と聞かれたとき)

答え:特に根拠はない。1、2年だと短いし4年だと縁起が悪いし5年だと長い気がする。3という数字が心地よい・・その程度の根拠。

とりあえず、一応、飲んでおく薬(点滴を含めて)や検査って本当は必要がないかもしれない。もっとはっきり言うと、無駄なことが多い。そうは思いつつもお土産なしで帰すのもどうかと思って(こちらの利益にもなるし)していくうちに、いつの間にか患者さん側でもそれが当然やるべきものと勘違いしていく。これが無駄な医療が定着したいきさつだと思う。自信を持って必要ない薬や検査を止めていくことが必要だと思います。

 

 

終末期をどう過ごすかについて

2016年01月07日

質問;BSC=「緩和ケア」とは治療の見込みがない人の医療ですよね?

答え;緩和ケアとは一般的に「痛みなどを緩和する(やわらげる)等、日常生活を快適に過ごすための治療」を言います。

 

質問;食べなくなったので心配です。なんとか食べさせる方法は?

答え;「食べない」のは「食べたくても食べることが出来ない」のではなく「体が少ない食事量しか欲しない、または食べる事を欲しない体になった」と理解すべきです。ご家族的には食べてほしいと願う気持ちは理解できます。「食え、食え」の声掛けは本人を苦しめます。最後の場をともに過ごす、手をにぎったり、マッサージしたり、昔話に花咲かせることの方が何倍もよい過ごし方です。

 

質問;点滴していただけますか?

答え;この時期の点滴には罪の方が大きいです。点滴の栄養は身体が受け付けないばかりか癌に取られます。水分は浮腫みとなって身体全身にたまっていき、体を苦しめます。

質問;脱水になるのでは?

答え;世間的には負のイメージですが、人間は自然な状態で過ごせば最後は必ず脱水(枯れていく)になります。脱水になると眠くなり、苦痛も軽減させます。より自然に逝くことができます。

ホスピスケア学会から抜粋

 

五分五分の賭けに全財産(生活)をつぎ込む、と言ったら笑われるのがおちです。ところが癌治療となるとそうはいきません。残された時間や貴重な財産をかけ、社会生活を投げうって、治療に専念し闘病生活を始めます。完全復活を願って人生の賭けに出ます。でも癌を完治する治療法はいまだに確立されていません。そんな時は緩和ケアという治療方法を選択することも1つの生き方だと思います。

 

 

肺炎(球菌)ワクチンについて

2015年12月07日

質問;肺炎ワクチンについて教えてください。

答え;「肺炎ワクチン」はテレビで盛んに騒がれていますが正式には「肺炎球菌ワクチン」といいます。肺炎球菌の予防のワクチンです。

 

質問;ワクチンで肺炎を予防したいのですが

答え;肺炎になる菌はいっぱいあります。例えば肺炎桿菌、ブランハメラ菌、インフルエンザ菌、ブドウ球菌・・・。その中のたった一つの菌のワクチンです。ですからこのワクチンを打っても他の菌の肺炎にはなる可能性はあります。

 

質問;死因の第3番目だと言っていますが?

答え;年とって入院して肺炎で亡くなった、とよく聞きます。実は入院中に起こる肺炎の大部分は誤嚥性肺炎の可能性が高いです。これは食物残渣が気管から肺に入って起こる肺炎です。残念ながらワクチンは無効です。

入院中に起こる肺炎の原因菌が肺炎球菌であることはまれです。また肺炎疑いで検査(喀痰)をして肺炎球菌が検出されることは非常にまれで全体の2%程度とのことです。非常に少ないです。

65歳から70歳の方へ。肺炎で入院したことがある人はいますか?おそらくほとんどの人はないと思います。昔は炭坑などで働く人たちが、過労から肺炎になることはあったかもしれないが、今は衛生環境よし、風邪ひいてもすぐに休める環境であれば肺炎にはなりません。

ほとんど罹らない肺炎の予防に意味はあるのか僕には疑問です。

 

インフルエンザについて

2015年11月07日

質問;インフルエンザとはなんですか?

答え風邪のひとつで原因がインフルエンザウイルスだということです。呼吸器を侵すため肺炎になることがあります。

 

質問;脳症になったり、突然死したりするのが怖いです。

答え;脳症の原因は強い解熱剤を使った場合、もしくはタミフルなどの薬を使ったほうが確率は上がりますので当院では出来れば使いたくないです。突然死も薬害の可能性が高いです。

 

質問;タミフルなどを使うと早く治るのでは?

答え;そう宣伝されていますが実際は、熱が早めに下がる傾向になるみたいですが治ったわけではなく、ウイルスは体に残っていることが解りました。ですから学校などでは解熱後2日で登校可能だったのが発熱後5日経たないと登校できなくなりました。

 

質問;インフルエンザでもほっておけば治りますか?

答え;身体には自然治癒力があります。自力で治った場合は体に免疫が着くのでその後しばらくはかからなくなります。タミフルなどを使用した場合は体に免疫が付き難くなるのでまたかかりやすくなります。

 

質問;ワクチンは効きますか?

答え;残念ながら今のところ重症化を防ぐと言う根拠は乏しいです。

インフルエンザと診断されると学校にも、会社にも5日は来るなと言われる時代となりました。冬場に熱が出たらほぼインフルエンザと考えてよさそうです。薬を使っても早く治る(ウイルスが消失する)わけではないので、5日間、神様がくれた休養日だと思って、薬の代わりに美味しいものを食べてゆっくり寝て過ごす方が賢明かなと思います。

 

老衰について

2015年10月17日

質問;老衰してくると起こる現象について教えてください。

答え
①1日なにもしないで過ごせるようになる。つまり日常の活動量が減る。
②痩せてくる。食事をしっかり摂っていても痩せてくる。少ない食事で過ごせるようになる。
③現実世界から離れていく。周囲に無関心になるためにうすらぼんやりした雰囲気となる。
④不要なものが出て行く。特に終末期には多量の尿、便が出る。高熱を出すこともある。エネルギーを使い尽くして逝くのだと思う。


質問;老衰は病気ですか?

答え;違います。

 

質問;ほとんどの人は病気で死ぬのではないですか? 肺炎とか心不全とか・・。

答え; 老衰状態の人に過度の医療行為を施した場合にはかえって病気を併発します、例えば無理やり食べさせると誤嚥をし、その結果肺炎となります。点滴をすれば心臓に負担がかかり心不全をおこします。

 

※老衰期が明らかになってきたら過度な医療行為は慎んだほうが楽に過ごせます。

 

僕が死亡診断書に死因を書くとき、いつも気にかけていることがある。それは自分の人生を全うした人たちに尊敬の念をもって「老衰」と診断することだ。癌などの病気が前面に出てきた人に○○癌と書くことは多数あるが、心の中ではいつも「老衰」ですよと思っている。
命には必ず寿命があり寿命を超えて生き続ける事は出来ない。「老衰」は最期まで寿命をやり遂げた「勲章」だ。そして家族にもそう伝えている。「老衰の人と同じような経過でした」と・・・

 

専門医とかかりつけ医

2015年09月13日

質問;高血圧は循環器科、慢性胃炎で消化器科と月にいくつかの専門医に通院しています

答え;ある病気の事に関して最良、最高の医療を提供してもらえる良いところがあります。しかし安定した後は定期的に診てもらう必要性は減ります。専門的な判断が必要な時に診てもらう事をお勧めします。

 

質問;最近、〇〇の症状がありますが、どこの科の先生に相談しても専門外だと言われてしまいました。

答え;自分の身体全体を把握して診てくれる、かかりつけ医にまず相談してください。薬の量、日常の体調、など総合的な判断より、必要に応じて最適な専門医を紹介いたします。

 

質問;かかりつけ医は、専門医でないので専門的なことがわからないかと不安です。

答え;しかし、いくつもの科から重複して薬が出ていることもよくあることです。やはり体の全てを把握している、かかりつけ医が必要でかかりつけ医がわかる範囲のことは、かかりつけ医で対処してもらいましょう。専門医への受診はかかりつけ医が判断するのが理想です。

 

質問;将来、通院出来なくなる時が来たらと心配です。

答え;元気なころから自分の身体をよく知っている、かかりつけ医に往診してもらうことが理想です。当院では、訪問診療、訪問看護が出来るので安心してください。長く最後までつきあえる、かかりつけ医がいると安心ですね。

当院では皆様のかかりつけ医、総合医をめざしております

 

89歳の女性の患者さん。健康診断で肝臓に少し異常が見つかり専門医に通院。その後毎月通院し、定期的に採血検査や超音波検査をした。そして4年間通院し今年、無事終了。理由は特にすることもなく年齢的にも通院が大変になるだろうから。しかしこの4年間の通院の意味は何だったのだろう。4年前から「することは特にないので、症状が出たら来て下さい」と言って欲しかった。無駄と言う言葉が頭に浮かびました。

 

医者と患者の信頼関係

2015年08月13日

質問;前回効いた薬を今回も出してほしいのですが?

答え; その薬が今回も本当に必要かどうか? 様々なデータから必要があるか再度検討し、必要なさそうだと判断した場合は出さない事もあります。

 

質問; 大学病院の先生からはもっとたくさん処方してもらっているのですが?

答え; 当院は、自然治癒力の観点から、極力最小限の薬を厳選してお出ししています。医学的にも効果が高く、副作用のリスクより効能(メリット)が必要と判断した薬のみお勧めしております。

質問;信頼関係はどうして築けますか?

答え十二分に話し合うことだと思います。こちらも誠意をもって説明させていただきます。分かりづらい場合には何度でもご質問ください。自分の持っている常識と異なることを言われたときには特に話し合う時間が必要です。

 

質問;薬が少なくなることが不安です

答え;必要以上に薬をたくさん飲んでいる方が多いです。減らすことに対して「不安感」があると思いますが、「勇気」を持って自分の身体を信じて薬を減らしてみてください。当院ではどうしたら安心していただけるか、どうしたら最新の医学を伝えられるかを常に考えています。そして小さな医院だからこそ、一人ひとりきめ細かく対応できます。

 

身体に僅かの変調をきたしたときに感じるもの、それは「不安感」。このまま大病につながるのではないかという。ネットで調べるといろんな病気の前兆の気がしてくる。そして病院に駆け込み「検査してくれ」「薬をくれ」と心配で張り裂けそうな声で話す。「大丈夫ですね。その症状では大病にはつながりませんよ」の一言で症状が消えてしまうか、軽くなってしまう事があります。「病は気から」と、先人は偉大です。

 

 

血圧について

2015年07月06日

質問;いったい血圧ってなんですか?

答え;血圧とは「心臓の力」と「血管の硬さ」の掛けたものです。簡単に言えば生命の「馬力」です。

 

質問;血圧を測るといつも値が変わるので心配です。

答え;血圧は常に変化します。怒ったり、緊張したりすれば上がるし風呂上りにリラックスすれば下がります。寝る前、睡眠中、朝方は低めです。また血圧を続けて測るとだんだん下がってくるのが普通です。

 

質問;病院で測ってもらって高いと言われ、すぐ薬を出されました。

答え;病院で測ると高めに出ます。そういう方は自宅で必ず血圧を測り直して下さい。家で測って低ければ薬を飲む必要はありません。

 

質問;頭痛、めまいがして血圧を測ったら高かったのです。血圧のせいですか?

答え;高血圧から頭痛やめまいをおこすことはありません。頭痛、めまいがしたために心配になって血圧が上がったのです。

 

質問;どういう状態が危ないのですか?

血圧の高い状態がずうっと続くことです。場合によっては血管が詰まったり、切れたりします。1日中高い場合は薬が必要です。しかし普段正常な方が急に上がっても大丈夫です。

 

血管が切れたり、詰ったりしないように血圧を上げないための生活スタイルとは。感情の起伏をつけない、のんべんだらりと生きる。怒らない。頭から湯気が立ち、血管が切れてしまうから。過度の運動は血圧が上がるのでやめる。スポーツ中は血圧が上がるので危ない?血管の詰らないそんな生活は詰らないとは思いませんか。多少血圧が上がっても、リラックスをして体の興奮を鎮めれば血圧は下がります。メリハリの利いた生活をしていきたいですね。

 

2015年06月08日

質問;明らかになっている有効な早期発見早期治療ついて教えてください。

答え;血管に血の塊が詰まる病気は早期発見が有効です。心筋梗塞に対する治療、一部の脳梗塞に対する治療、その他の塞栓症など。

片頭痛や痛風発作に対する治療;発作の初期に薬を飲めば発作が軽くなります。

質問;健康診断を受ければ寿命が延びますか?

答え;どうもまだ明らかになっていません。仮説段階です。

 

質問;癌検診も同じですか?

答え;はい。胃癌、肺がん、大腸がん、乳がん、子宮がん、卵巣がんなどのいわゆる固形がんと言われているものは、残念ながら早期発見が有効かどうかはまだわかりません。早めに見つかって治った人が宣伝されますが、宣伝されない多くの人が早期に発見されてもやはり癌が進行していくようです。結局多くの人が検査をするようになりましたが死亡人数は減っていない状況です。

 

質問;認知症の早期発見はどうですか?

答え;治療薬は何種類かありますが効果は非常に限定的です。大多数の人は進行します。早く見つける事が良い事か疑問です。

 

もし自分の将来の病気の確率が予測できるようになってしまったら、しかし解ったところで運命を変える事が出来ないとしたらどうしますか。癌や認知症などまだ完全に治療法が確立されていないまま、盛んに予測をしていますが、早く知るだけで治らないのでは、単に苦悩が長くなるだけのような気がします。まだはっきりしない医学にすがらず、身体の運命を受け入れて覚悟を決めて毎日精一杯幸せを感じて生きる生き方を選ぶのもまた一つの選択です。