ぎゅっぎゅっぎゅっ

2013年09月03日

話が出来なくなって意思表示がなくなって数日たっていました。
もう、意識はないと思っていました。

主人の顔を見ながら、手を握っていました。ふと、
ぎゅっ
手に力を入れてみると、ぎゅっと握り返してくれたのです。

まさかと思って
ぎゅっぎゅっぎゅっ
手に力を入れてみると、今度はぎゅっぎゅっぎゅっと握り返してくれたのです。

その夜、主人は息を引き取りました。

最期に主人は私に確かに何かを伝えてくれました。暖かい、ぎゅっ、でした。

奥さまは、そんな事を語ってくれました。

 

市川市にある在宅支援診療所の上田医院では、在宅での最期を安心して過ごせるようにお手伝いしております。

老衰

2013年08月30日

93歳の父が、最近急に食べなくなり歩けなくなってきました。と心配した家族から当院に往診の相談がありました。

急いで往診しましたが異常は見当たりません。そこで「老衰ですね。このままお家で最期の時を待ちましょう」とお話ししました。

とても素敵な方でした。孫にも子供たちにも慕われていました。孫が小さいころ、誰がおじいちゃんの隣で寝るか、喧嘩になっていたそうです。そして、おじいちゃんが最期だと知り、また孫たちはおじいちゃんの隣で順番に寝たそうです。

往診の依頼から10日目の朝も、孫2人にかかえられてトイレに行けました。そしてその夜静かに召されました。とても幸せそうに見えました。

ご冥福をお祈りいたします。

 

※ご自宅で最期を看取る場合は、必ず主治医(往診医)が必要です。主治医がいないと、事件性がないか遺体解剖をしたり、保険金やありばいなど警察から事情聴取されることがあります。


<看護師求人のお知らせ>自宅看取りに共感できる看護師さん募集しております

最期の「いたい」

2013年06月15日

上田医院は市川市で在宅での看取りをしています

 

「お父さんが痛いからずっとさすってくれって言うんですけど、、、」

ある日患者様の娘さんから夜中に電話がありました。

痛みなら薬でかなりコントロールすることは出来ますが、きっと寝てしまうでしょう。この時の患者様の状態から診ると、「痛い」より、娘と一緒に「いたい」傍にいて欲しいという風に聞こえました。そして薬はあえて使いませんでした。

 

そして一晩、娘は寝ずにお父さんをさすってあげました。

そして翌朝、お父さんは眠るように他界しました。

 

娘は、お父さんの「痛い」は「一緒にいたい」だったと思う。「最後に一番してほしいこと」をしてあげることが出来て良かった。

もう2度と「いたい」と言えなくなったお父さんの隣で泣きながら話してくれました。

 

ご冥福をお祈りいたします。