由らしむべし 知らしむべからず(論語より)
常識:食べれば元氣になるよ
答え:
その前に大事な過程があります。それは「身体が欲するようになる」ことです。食べたくないのに無理やり詰め込むとかえって害になります。
身体が欲する → 食べる → 元氣になる です。
質問:風邪の熱は下げなければいけない。
答え:
風邪の熱はウイルスを退治するために上げているので、本当は下げない方が良いのですが、つい辛いから解熱剤に頼りがち。
補足:発熱と解熱剤について
発熱は、感染症に対する身体の適応的な防御反応です。熱ショック蛋白質の活性化などを介して宿主の細胞を保護し、自然免疫・獲得免疫の働きを高めると考えられています。発熱域の体温上昇には、病原体の増殖を抑える働きもあります。
人を対象とした臨床研究では、解熱剤の使用によって感染期間や発熱の持続時間が明らかに延びるとは証明されていません。その一方で、解熱療法によって死亡率や重篤な有害事象が減ることも確認されていません。基礎研究や動物実験では、発熱を抑えることによって免疫反応や病原体の排除が弱められる可能性が報告されています。
したがって、体温の数字を下げることだけを目的に、解熱剤を習慣的に使用する必要はありません。ただし、発熱による苦痛が強い、十分な水分や睡眠がとれない、呼吸や循環への負担が大きい場合などには、症状を和らげる目的で使用することがあります。重い心臓・肺・脳神経の病気などがある方では、個別に判断する必要があります。
質問:頭が痛い、目が回る、等の身体の不調の原因を血圧が「高いせい」だと言う。
答え:
血圧が上がる、下がるは原因ではなく結果です。頭が痛い → 自律神経が興奮 → 血圧が上がる、です。
夫婦喧嘩すると → 血圧上がる。
血圧上がったために → 夫婦喧嘩しだす、って事はないですよね。
補足:血圧と頭痛・めまいについて
日常診療でみられる軽度から中等度の血圧上昇では、頭痛やめまいが血圧そのものによって起きているとは限りません。痛み、不安、緊張、精神的ストレスなどによって自律神経が興奮し、その結果として一時的に血圧が上がることがあります。
一方、著しい血圧上昇に伴って脳・心臓・腎臓などに急性の障害が生じる「高血圧緊急症」では、血圧上昇そのものが病態に関係します。血圧180/120mmHg前後以上は一つの目安ですが、数値だけでなく、普段の血圧からどのくらい急に上がったか、急性の臓器障害が起きているかどうかが重要です。
激しい頭痛、意識の変化、手足の麻痺、ろれつが回らない、視覚異常、胸痛、強い息苦しさなどを伴う場合には、高血圧脳症、脳卒中、急性心不全・肺水腫、大動脈解離などの可能性があります。その場合は、近隣の急性期病院へ紹介し、速やかな評価と治療を受けていただきます。
質問:癌を早期発見し早期治療すれば寿命が伸びる。
答え:
一見正しいように思いますが、実際そうとも言い切れない事実が見受けられます。半年毎に健診していたのに、その間に末期癌の宣告を受けた人。手術後早期に多発の転移が見つかり末期判定を受けた人等。当医院はそのような患者さんから最期の頼として来てくださることが多いのです。
補足:がん死亡が減ることと、寿命が延びることは同じではありません
がん検診の目的は、がんを早く発見すること自体ではなく、そのがんで亡くなる人を減らすことです。
無作為化比較試験では、便潜血検査やS状結腸鏡による大腸がん検診、高リスク喫煙者に対する低線量CT検診などで、対象となるがんによる死亡が減ることが示されています。PSA検診についても、2026年のコクランレビューでは、前立腺がん死亡を1,000人当たり約2人減らす可能性があると評価されるようになりました。
一方、マンモグラフィによる乳がん検診では、すべての試験をまとめると乳がん死亡の減少が示されますが、無作為化が適切に行われた試験だけに限ると明確な差がなく、結果は試験の質に左右されています。子宮頸がん検診でも、細胞診の効果は主に観察研究に基づき、HPV検査については一部の無作為化比較試験で死亡率減少が示されています。このように、検診の有効性を裏づける根拠の強さは、がんの種類や検査方法によって異なります。
さらに重要なのは、対象となるがんによる死亡が減ることと、検診を受けた人全体の死亡が減り、寿命が延びることとは同じではないという点です。
2023年に発表された約211万人を対象とする無作為化比較試験のメタ解析では、マンモグラフィ、便潜血検査、コロノスコピー、PSA検査、低線量CTについて、検診を受けた集団全体の明確な寿命延長は確認されませんでした。統計学的な寿命延長が示されたのはS状結腸鏡検査の約110日だけでしたが、これも他の検診で一貫して再現された結果ではありません。
高リスク喫煙者を対象とした低線量CT検診では、NLSTという一つの大規模試験で全死亡が6.7%減少しました。しかし、別の試験では確認されておらず、複数の試験を合わせた評価でも、全死亡を確実に減らすとまでは結論づけられていません。
もっとも、全死亡に明確な差が出ないことだけをもって、「検診によって、がん死亡は減らない」「誰の寿命も延びていない」と結論することもできません。検診対象となるがんによる死亡は、試験中に起きる全死亡の約3~33%にすぎず、それ以外の原因による死亡に効果が薄められるからです。小さな全死亡率の差を確実に証明するには、非常に多くの参加者と長期間の追跡が必要になります。
したがって、現時点のエビデンスからは、次のように整理するのが適切です。
一部のがん検診には、対象となるがんによる死亡を減らす効果があります。しかし、全死亡を減らし、検診を受けた人の寿命を延ばすことが頑健に再現され、ほぼ確実といえる検診は、現時点ではありません。
検診には、がんを早く見つけられる利益がある一方、偽陽性、過剰診断、過剰治療などの不利益があります。また、検診と検診の間に急速に進行するがんや、検査では捉えられないほど小さい段階ですでに転移しているがんもあります。
手術後早期に転移が見つかった場合にも、手術前から存在していた微小な転移が検査では見えず、後になって明らかになった可能性があります。
「欠かさず検診を受けていたのに、なぜ」「早く治療を受けたのに、なぜ転移したのか」と思われるのは当然のことです。それは患者さんの努力が足りなかったからでも、選択を誤ったからでもありません。
医学には、現在の検査や治療でも越えられない限界があります。私たちは、医学的な説明だけで患者さんの悲しみが解消されるとは考えていません。できる限りのことをしてきたにもかかわらず、厳しい現実に直面した患者さんやご家族の無念、不安、悔しさに向き合い、最期まで支えていきたいと思っています。

院長のひとり言
この薬を飲むと、このワクチンを打つと「重症化を予防できると期待されている」という文言を目にします。これ、ただの感情論で、効くと言うイメージだけ植え付けていますが医学的には何も言っていません。トクホの健康茶のグラフも単に視覚的に効くイメージを皆に持たせていますが、よく見ると飲み始めた直後からグラフが下に傾き体重が減っている。ありえない。
編集後記
病は気から
自然体が一番
風邪や発熱、血圧、生活習慣病などでご相談をご希望の方は、当院の外来診療、または一般内科・生活習慣病のページをご覧ください。