「痛み」 についての一考察

2025年05月01日

質問;抽象的な質問ですが「痛み」とはなんですか?

答え;「痛み」とは人間の持つ「知覚」の一つです。この知覚の意味は大きく分けて二つあります。

1:危険を察知し、それ以上母体に損害を被らないために送る脳からの指令 手で木に触りとげに刺さって「イター」となって手を引っ込める・・・・等

2:被った損傷を治すための物質を傷口に送る掛け声的な要素

痛みを感じなければ傷口に修理物質が集まらない。糖尿病の人で知覚が麻痺している人は傷が治り難い・・等

 

質問;小さな傷なのにものすごく痛がる人、痛みの場所がよくわからないのに痛がる人、鎮痛剤が効かない人、がいますがどうしてですか?

答え「痛い」は様々な精神的な要因でも増幅します。

1:痛みに意識を向けると増幅します(カメラの望遠レンズの如し)

2:居たくない環境に晒されると増幅します(かえり・・いたい)

3:寂しいと増幅します(あい・・・いたい)

4:すごく痛かった過去、辛かった過去を思い出すとそれがよみがえります。

5;生きたい気持ちが強いと増幅します(いき・・いたい)

6:ちょっと触っただけで「痛い」と叫ぶ(ほおっておいてもらい・・・いたい)

痛みは複雑です。鎮痛剤を増やしても効かない痛みがあります。その人の痛みをよく観て、わかってもらい・・いたい・・痛みには耳を傾け、できるだけ環境を良くして、痛みばかりに気をとられないように、距離感も図りつつ、痛みに対処していきたいなと、思う今日この頃です

 

人間の最期に起こる現象

2025年04月27日

質問;人間の最期「死ぬ」前に、なにか前触れ現象はありますか?

答え;予兆はある人がほとんどです。

 

質問;具体的に教えてください。

答え;1 食べても痩せてくる。食事の量が減る。外から採る食事ではなく、自身の肉や脂肪を燃やして過ごすようになります。

答え;2 物事に関心がなくなってくる。趣味に興味を失い、習慣が崩れてくる。呆け(惚け)る現象も旅立ちの前触れととらえることもできます。

答え;3 いろんなものを出していく。溜まっていたものを吐き出す。今まで抑えてきた感情、思い、等も。 性格が変わったように見える場合もあります。いよいよの段階になると大量の便や尿も出ます。高熱が出ることもあります。

答え;4 呼吸が荒くなります。超高齢者の場合は呼吸がゆっくりとなり徐々に回数が減ってくる人もいます。

 

質問;いつ頃から始まるのですか

答え;答え4は最期の段階の話です。1-3はひとによります。癌を患っている方は最期の1か月階段を駆け下りるように変化します。

 

人間の最期は苦しみますか?とよく訊かれます。自身の人生を振り返り、辛いことがいっぱいあったのならそれを思い出すかもしれません。しかしそんな過去も吐き出して楽になって旅立つものだと、私は今、考えています。私は5千人近くお看取りさせていただいて、ほとんどの人が安らかに幸せな気持ちで最後を迎えているように感じます。

 

 

虐待について・・誰が決めるの?

2025年03月03日

質問;虐待って、いったい誰が認定するのですか?

答え;厚生労働省のホームページ等を参照して概要をつかんでください。根本を言うと、虐待をされた側が虐待されていると感じるのが基本だと思います。しかし実際福祉の現場では本人ではなく、現場の職員が虐待判定をしています。

 

質問;認知症の方は特に口に出していえない状況にあるのでは?

答え;たしかに難しい側面はあります。しかしそれより問題なのは、福祉関係者は虐待の判定をする一方で、福祉関係者自身が無意識的に虐待を行っている可能性があるのでは、と思っています

 

質問;例えばどんなところから思われるのですか?

答え;1:認知症の人が発する言葉に反応せず無視している 2:声掛け無しに(声に出していても本人に通じていない場合が多い例えばオムツ交換、女性に対して服を脱がす時、)身体的介護をしている 3:本人の意思に反して強制的に阻止行為に及んでいる;歩こうとして、ダメと言って座らせる、安全確保のためと称して、

 

質問;「いちいちそんなこと聴いていたら業務がすすみませんよ」と言われます

答え;介護業界の構造的問題ですね。効率重視がもたらす弊害。人間の感情って合理的、効率的には解決しませんから。

 

たたく、大声を出すって人間の、理不尽さ、やるせなさ、怒り、鬱屈させられた感情の発露に見えませんか?恋人に振られ、江戸川の土手で大声を出す。理不尽なことが多くて思わず机や物に当たる、壊す、等々。こんな人間的な表現を封殺しようとする世の中の流れ。人間は機械ではありません。効率や合理性を追求するあまり人間的なものが失われていく。なんとかなりませんか?

 

 

高齢者(80歳以上)に対する医療 の考え方

2025年02月03日

質問;糖尿病に関してはどれぐらいでコントロールすべきですか?

答え;甘めで大丈夫です。合併症がなければ更に甘めで大丈夫です。

そもそも正常値近くにする目的は5年10年先の合併症を予防するという意味合いが強いのです。高脂血症についても同様で甘めで大丈夫です。

 

質問;高血圧症についてはどうですか?

答え;みなさん130が頭に刷り込まれていますからこれを超えると危ない、怖いと思いがちですが、実は高齢の方、血圧高い方が元気です。高血圧薬止めたら体調が良くなったと喜ばれる経験を何度もしています。

 

質問;腰痛、ひざ痛、その他整形外科的な痛み対してのシップは?

答え;局部が腫れている場合にはシップは有効です。しかし痛みの原因の一つとして周りの筋肉が固くなって、その結果で痛みが出ている人を散見します。そこをほぐせば痛みは軽減します。シップは逆効果になります。

 

質問;癌治療は?

答え;癌と診断されると頭が真っ白になり、絶望感が漂います。だから医師に言われるがままに、抗がん剤治療にすがることは多々あります。しかし治療を拒否して自然体で生活し、かえって長生きしたのではと思わせる人達を数多く見てきました

 

85歳女性、両膝が変形して膨らんでいる、典型的な変形性膝関節症。しかし痛みの訴えは全くない。よくよく訊いてみると20年以上前からウエイトリフティングをしていてスクワットトレーニングをしていたと。毎日毎日トレーニング、おかげで筋肉はたっぷりある。膝は変形しているが痛くない。おおいに参考になりますね

 

「医原病」さらに目立つ・・

2025年01月03日

質問;そもそも「医原病」とはなんですか?

答え;医療行為そのものが健康を害する、医療側が病をコントロールしようとしてかえって増悪する病を言います。1970年代に  イヴァン・イリッチという哲学者により提唱されました。昔からアメリカでは指摘されていたのですね。

質問;具体的にはどういうことですか?

答え;一番わかりやすいのは薬の副作用です。良かれと思って出された薬の害です。抗コロナ薬、高脂血症薬等による免疫力低下、抗がん剤による副作用死、昨今は予防接種の副作用による害が目立ちますね・・・これらを臨床的医原病といいます。

質問;まだあるのですか?

答え;はい。社会的医原病と言われるものです。例えば医療費を掛ければ寿命が延びる?のではなく、医療費が安い県の寿命が一番長いというデータから言えますね。皮肉なことに医者にかからない方が長生きするということです。健康に関する情報サービスがもたらす害も指摘しています。

質問;ほかには?

答え;はい。文化的医原病と言います。簡単に言うと「死生観」の変化。15、6世紀の西洋では「死」は自然現象であり、長生きは美徳ではなかったようです。フランスの哲学者モンテーニュは「極端な老いのもたらす死・・を期待することは無駄な思い上がり。」長生きしようとする人を思い上がりの激しい人と嘲ったそうです。今、長生きは美徳??ですよね

 

「なにか出来ることはないのですか?」と言われることがあります。「温かく見守るのが一番ですよ」の返事として。現代医療には限界があります。見守る、傍にいる、手を握る、声掛けすることが一番の心の薬になることは多いです。昔から「お手当」とはよく言ったものです。見守られる側にもたらされる安心感は計り知れませんよ

 

本末転倒の話・・・

2024年12月03日

例えば;頭が痛くなった、血圧測ったら200だった。血圧が上がったせいで頭が痛くなったのですか?

答え;逆です。頭が痛くなった→だから血圧が上がった。

夫婦げんかした。血圧測ったら200だった。血圧があがったから夫婦げんかになった?おかしいですよね。

 

例えば;体調が悪い、それなら、無理して食べれば元気になるよ。

答え;体調が悪い時に食べても受け付けません。吐くだけです。体調が悪い→徐々に体が回復基調に→体がエネルギーを欲してくる→おなかが空く→食べる→元気になる、です。ちょっと難しい話です。食べれば元気になる、ではなく、その前にもう一段階がありそれが重要です。身体が元気になろうとするということです→だからおなかが空く→だから元気になる、です。悪い時に食べても元気になるどこらか悪影響を及ぼします。

 

例えば;大股で歩けば認知症の予防になる、水を飲ませれば認知症の予防になる

答え;認知症になるとその結果小股になるのです。水を飲ませようとする人間と人間の関わり合いが脳の活性化につながるのです。水だけ入れれば予防になるなら点滴しても予防になるはずですが、そうはいきませんね。

 

物事の原因を考える時、ついつい目の前にある身近なことに原因を求める傾向を我々は持っています。しかしよく考えてみると原因っていろんな要素が絡み合っていることが多いと思います。細かく分析して、追及する姿勢は科学者などに任せて、我々はもっとおおらかに過ごしていければよいかなと思います。その方がストレス減って楽になる気がしますがいかが?

 

人生100年時代??て言うが・・・

2024年11月03日

例えば;95歳男性、背中は90度に曲がっている。昔は体操選手、80歳台で大車輪ができる程の体力自慢だったが。

答え;「長生きなんてするものじゃないね」「しんどい」が口癖だ。

 

例えば;102歳男性、食事の時なんとかリビングに行って食事するが、それ以外はベッドで寝ている。

答え;長生きの秘訣は?「特にない」と言っている。趣味の読書や音楽鑑賞への興味は卒業。年齢を聞いても「?」。達観しているといえばそうだが、皆が望む100歳なのかは疑問だ。

 

例えば;85歳女性、寝たきり全介助、胃ろうで栄養を。意思の疎通ははかれない。

答え;息子曰く「100歳まで頑張らせる」と言うがちょっと無理そう。

 

例えば;99歳女性、だんだん無口になった。

答え;100歳の誕生日も本人はどこ吹く風、という感じ。その年の冬に他界。

 

例えば;95歳女性、トイレに自力でいけなくなり、30分おきに嫁を呼ぶ。

答え;嫁さんはうつ状態になった。

 

人生100年時代とよく言われているが、私の周りにいる100歳前後の方の大多数が口にする言葉は「長生きはするものじゃない」だ。友達は皆あの世にいってしまって「寂しい」と口にする。身体もしんどいと。中には古き日本の歴史を承継しようと叱咤する方もいるが煙たがれている。100歳目指して頑張るのもよいが、まずは今日1日をどう幸せに過ごすかが大切ですね。感謝も忘れずに

 

振り返り・新型コロナワクチンの効果

2024年10月03日

当初;武漢で新型コロナが発生、そして世界中に広がった。

日本では;世界的に流行っていたのに日本ではほとんど蔓延しなかった。しかしマスコミ、医療関係者は危ない危ないと言って自粛を呼びかけ緊急事態宣言までだして脅かした。

 

ワクチン;2回打てば集団免疫ができて収束すると大々的に喧伝。

効果;2回打っても感染の波は収まらずに、デルタ株の発生で40,50歳台の死者が増加し、そしてまたパニックになった。さらに追加でワクチンを勧めた。

 

ワクチン;感染しないために打て・・から・・感染はするが重症化はしない、と話をすり替えた。

効果;打てば打つほど感染者は増えた。さらに全死亡者数も増え、今年までの累積で30万人以上余計に亡くなる人が増えたと言われている。つまりワクチンを打つと違う病気で亡くなる人も増えるということです。

 

ワクチン;10月から定期接種開始・・

効果無し;あれあれ、3か月しか持たないと追加接種を7回もさせられたにも関わらず感染の波は収まらなかった。それなのに定期接種ってなんですか?流行るのが前提で秋に接種ですか?

今年から始まるコロナワクチンはさらに危険なものになりますので接種はやめてください


インフルエンザのワクチンもおそらく効果は無い。しかしインフルワクチンで亡くなる人はほんのわずか、効果がなくても、罹らないという安心感を与えることはできていた。しかし今度のコロナワクチンは効果がないどころの話ではない。打つと、免疫は落ちる、血栓はできる、DNAを破壊して癌にもなりやすくなる、などなど、もう打ってはいけない代物である。

 

施設における感染対策の効果

2024年09月01日

水際対策;面会時間の制限など

効果;当施設では面会制限は行わなかった。家族等の面会は以前よりは自粛の要素があり減ったが、感染の蔓延が続くとか、感染者が他の施設と比べて多いということはなかった。

 

隔離政策;感染者に対しスタッフは防護服などを着用。非感染者も室内に隔離。常に食事時は黙食、ついたて、等で隔離。

効果;当施設ではマスクの着用(任意)のみを行った。一時期最大で4,5人の発熱者(44人中)が出た時期はあった。無理な隔離政策はとらず、非発熱者は通常通りの生活を行った。当然食事中も楽しく会話。他の施設が10-20人近く一度に発症していた時期でも当施設ではいつもと変りなく生活していただいた。

ワクチン;当時入居していた方は家族希望で数名接種、その他の方は未接種。他の施設では強制的に3回接種した。

効果;感染の蔓延どころか重症化の予防にも貢献していなかった。某施設では接種後に少なくとも3人は急激に状態が悪化し死亡した。

 

定期的抗原検査;スタッフ管理のため発熱時に抗原検査、治癒判定のための検査。

答え;当施設では特に検査は行わなかった。発熱時は休み、解熱後に出勤という体制で臨み、混乱は起きなかった。スタッフの精神的疲労は最小限に留まった。他の施設との差は歴然だった

院長のひとり言

当院では自施設以外に9施設の健康管理を行っている。この4年間で全施設にコロナが蔓延し少なからずの人がお亡くなりになった。感染対策の名のもと利用者は室内に閉じ込められ、食事はドアもとにポン。まるで収容所のようだった。空気も殺伐としていた。一方自施設である我が家は蔓延時にも通常と変わりない生活を行った。運動会までした。日常生活の重要性をあらためて実感した。

 

 

 

理性(数字)は高齢者にとって必要か?

2024年08月09日

質問;規則正しい生活をするのは良いことだと思いますが?

答え;自分の身体の声を聴いたうえでの規則正しい(時間通りの)生活は大切です。しかし例えば老人ホームなどでは、ホームが決めた時間通りに生活させられます。自分のリズムと異なると大変になります。

 

質問;1日の摂取カロリーを決めしっかり食べることはどうですか?

答え;例えば1日1200Kcalと決めたとして、いつか必ず、食べられなくなる時が来ます。ですから今から、決めた量を食べるのではなく、心地よく、おいしく食べられるだけ食べるという習慣に切り替えたほうが良いのです。

質問;血圧は健康の指標になりますか?

答え;なりません。高いから危険だと思われる方が多いですが、違います。落ち着けば大多数の人の血圧は下がります。さらに高齢の方で元気な方は血圧が高めの人が多いですね。

 

質問;健康診断ですべての数値が正常範囲内です。

答え;安心材料の一つにはなります。しかし長生きの指標にはなりません。数値が正常であるかよりも、おいしく食べられて、ちゃんと便が出て、気持ちが健やか、の指標を大切にしてください。

 

院長のひとり言

今の社会ってかなりの部分が数値化されています。学力は偏差値、運動能力も数値化、社会人生活では売り上げにどれだけ貢献したかで数値化、健康診断すればすべて平均に入らないといけない。ところで我々が機械と違うところ、心の部分はどうなのでしょう?心、気持ち、気分、は数値化できません。心がないがしろにされているから数値が良くても心地よくないのではないかと思う今日この頃です