専門医療から全人的医療へ

2025年11月01日

質問;全人的医療とは何ですか?

答え;病気だけでなく、その人そのもの、全体を診る。社会環境、生活から、価値観に至るまで見渡して施される医療の考え方です。

提供される医療は、西洋、東洋、代替療法、などいろいろ組み合わせ可能、さらに

病気だけを診るのではなく、社会環境、生活から、価値観までも見据えた全人間的な視点が必要になります。

 

質問;各分野の専門医療をすべて注ぎ込めばよいのでは?

答え;専門医療は部分的な治療に留まり、部分を合わせても全体になりません。全人的医療では本人にとって大切なものを選択して統合し、重複診療を防ぎ、費用負担も軽減できます。根本的な原因に寄り添うことができ、結果的に自然治癒力も高める可能背があります。

質問;どうすればよいのですか

答え;お任せください。当法人では看護師、ケアマネ、リハビリ、介護士が在籍し、全人的なアプローチでその人に合ったものを選択、統合して、自宅で長く、安心して暮らせるようにお手伝いします。

院長のひとり言

専門家からのアドバイスは非常に役に立つことは言うまでもありません。しかし難しくて分からないことや疑問など気楽に聞ける身近な主治医(全人医療をしてくれる医師)がいたら安心ではないですか?「あの専門医の話はこれこれこういうことですよ」と嚙み砕いて説明してくれる先生!そんな存在になりたいなと思っています。

 

 

老人ホームに入るきっかけ

2025年10月01日

パターン1本人が老人ホームに入りたいと考えた時

想像;この場合、健常者が入るホームが多いですね。食事が出て、趣味のクラブがあって、健康相談や医療設備が併設されているところもありますね。仲間も増えます。

注意点;介護が必要になった、認知症が目立ってきた場合には、介護棟という別棟の施設に移動するケースが多いです。健常時のホームがどんなに豪華絢爛でも介護棟は普通の老人ホームです。しかも仲間とはお別れです。

 

パターン2家族が「もう家では限界」と感じる時

より詳しく;尿や便の失敗が目立ってきた時

家族に何回も電話をする、呼びつける、等

認知症症状の悪化、徘徊など

もし家に居たいのなら;トイレに自力で行くことを頑張る人が多いですが、我慢せず、おむつに早く慣れることができればよいですね。携帯電話はいつか凶器に変わります。止める勇気が必要です。

 

パターン3;入院をきっかけに生活レベルが落ちた時

詳しく;骨折して入院、肺炎で入院、等々。病院のスタッフから家では無理ですねと言われることも多いですね。しかし寝たきりでも家で過ごせる人もいるので、家に居たいなら相談に乗ります。

院長のひとり言

「どうなったら老人ホームに入らないといけないのですか」「入る線引きみたいのはありますか」と聞かれることが度々あります。寝たきりでも一人で過ごせる人もいますので、家族が入れたい、本人が入りたいと思った時がその時です。家に居たい気持ちが強ければ、それに沿って援助ができます。工夫すれば家に居られることも多いのです。本人の気持ち、家族の気持ち次第でいろいろ変わります。

 

 

施設における感染対策の効果

2025年09月01日

水際対策;面会時間の制限など

効果;当施設では面会制限は行わなかった。家族等の面会は以前よりは自粛の要素があり減ったが、感染の蔓延が続くとか、感染者が他の施設と比べて多いということはなかった。

 

隔離政策;感染者に対しスタッフは防護服などを着用。非感染者も室内に隔離。常に食事時は黙食、ついたて、等で隔離。

効果;当施設ではマスクの着用(任意)のみを行った。一時期最大で4,5人の発熱者(44人中)が出た時期はあった。無理な隔離政策はとらず、非発熱者は通常通りの生活を行った。当然食事中も楽しく会話。他の施設が10-20人近く一度に発症していた時期でも当施設ではいつもと変りなく生活していただいた。

ワクチン;当時入居していた方は家族希望で数名接種、その他の方は未接種。他の施設では強制的に3回接種した。

効果;全施設でコロナは蔓延し、死者も出た。つまり感染の蔓延どころか重症化の予防にも貢献していなかった。驚くべきは某施設では接種後に少なくとも3人は急激に状態が悪化し死亡した。

 

定期的抗原検査;スタッフ管理のため発熱時に抗原検査、治癒判定のための検査、早期発見して隔離する政策。

答え;当施設では特に検査は行わなかった。発熱時は休み、解熱後に出勤という体制で臨み、混乱は起きなかった。スタッフの精神的疲労は最小限に留まった。他の施設との差は歴然だった。

 

院長のひとり言

当院では自施設以外に9施設の健康管理を行っている。コロナ渦時、全施設にコロナが蔓延し、少なからずの人がお亡くなりになった。施設の空気は殺伐となり、この環境の変化で亡くなる方もいた。一方、自施設である我が家は蔓延時にも通常と変わりない生活を行った。感染対策は無駄だと確信した。そして日常生活の重要性も再確認した。

 

 

プラセボ効果とは

2025年08月01日

質問 プラセボ効果 とはなんですか?

答え 自然治癒力に作用するある種の精神的なです。

 

質問; 具体的にはどんな力ですか?

答え; 例えば、痛みに対して「これは効く薬ですよ」と小麦粉の丸薬を渡すと3割ぐらいの患者さんは本当に痛みが軽くなってしまうということがあります。これを薬のプラセボ効果といいます。他には、信頼している医師に治療してもらうと治りが早いなどもプラセボ効果のひとつです。

質問; マイナスに働くことはありますか?

答え; あります。同じ薬でも信頼のおけない医者から出してもらった薬が効かないということがあります。また治療を受ける側にマイナスイメージ(本当に治るのか不安、副作用が心配)があると治り方が遅いということも実証されています。(ノセボ効果)

 

質問; プラセボ効果を強めるにはどうすればよいですか?

答え; どんなに些細な事、わからないこと、不安に思うことがあれば質問していただければと思います。疑問、不安がなくなり、信頼関係が強まれば、プラセボ効果は高まります

 

院長のひとり言

人工知能が発達して人間より賢くなったとして、その知能体を全面的に信頼することができるのか?信頼を生む土壌は、その人の人柄、背後にある哲学、そして周りの環境(伝統文化、習慣等)が重要になってきますが、知能体はどうふるまうのだろう?私は今のところ懐疑的です。

 

 

「健康情報」 についての一考察

2025年06月01日

質問;気になる症状をグーグル先生に訊くと、「自分の症状は●●病かもしれない」「もし○○病になったら大変だ」と不安になります

答え;ネット情報は一番危ない病気に誘導される恐れがあります。気が狂いそうになりますね。また病気の事を知れば知るほど不安が募るという皮肉な状態になりますね。

質問;健康診断を毎年受けても不安です。半年に一度と増やしたほうが良いでしょうか?

答え;健診の回数を増やせば寿命が延びるというデータは残念ながらありません。健康診断は未来の予測にはならないのです。今現時点が大丈夫という確認に過ぎないのです。

 

質問;健康食品やサプリは何を飲めば良いでしょうか?

答え;健康食品やサプリは医薬品としては「認められない効果の少ないまたは効果の不確かなもの」という定義です。宣伝文句を鵜呑みにしてそれさえ飲めば大丈夫というものは残念ながらないと思います。

質問;私の身体は健康(大丈夫)でしょうか?

答え;食事が美味しい、ちゃんと便が出る。そして笑いがある日常生活があれば健康です。些細なデータ異常や、病気におびえ、精神的にストレスを感じると逆効果です。体調について考えていない時の方がかえって健康な時ではないかとさえ思います。

 

院長のひとり言

「知る」ということは残酷です。未来を少し予測でき、そして責任が生じます。知った後に「どうすればよいのですか?」と尋ねられることがあります。これに耐える精神力が必要になりますね。そして決断しなければなりません。しかし「知らぬが仏」の方が幸せだったりします。

 

 

「痛み」 についての一考察

2025年05月01日

質問;抽象的な質問ですが「痛み」とはなんですか?

答え;「痛み」とは人間の持つ「知覚」の一つです。この知覚の意味は大きく分けて二つあります。

1:危険を察知し、それ以上母体に損害を被らないために送る脳からの指令 手で木に触りとげに刺さって「イター」となって手を引っ込める・・・・等

2:被った損傷を治すための物質を傷口に送る掛け声的な要素

痛みを感じなければ傷口に修理物質が集まらない。糖尿病の人で知覚が麻痺している人は傷が治り難い・・等

 

質問;小さな傷なのにものすごく痛がる人、痛みの場所がよくわからないのに痛がる人、鎮痛剤が効かない人、がいますがどうしてですか?

答え「痛い」は様々な精神的な要因でも増幅します。

1:痛みに意識を向けると増幅します(カメラの望遠レンズの如し)

2:居たくない環境に晒されると増幅します(かえり・・いたい)

3:寂しいと増幅します(あい・・・いたい)

4:すごく痛かった過去、辛かった過去を思い出すとそれがよみがえります。

5;生きたい気持ちが強いと増幅します(いき・・いたい)

6:ちょっと触っただけで「痛い」と叫ぶ(ほおっておいてもらい・・・いたい)

痛みは複雑です。鎮痛剤を増やしても効かない痛みがあります。その人の痛みをよく観て、わかってもらい・・いたい・・痛みには耳を傾け、できるだけ環境を良くして、痛みばかりに気をとられないように、距離感も図りつつ、痛みに対処していきたいなと、思う今日この頃です

 

人間の最期に起こる現象

2025年04月27日

質問;人間の最期「死ぬ」前に、なにか前触れ現象はありますか?

答え;予兆はある人がほとんどです。

 

質問;具体的に教えてください。

答え;1 食べても痩せてくる。食事の量が減る。外から採る食事ではなく、自身の肉や脂肪を燃やして過ごすようになります。

答え;2 物事に関心がなくなってくる。趣味に興味を失い、習慣が崩れてくる。呆け(惚け)る現象も旅立ちの前触れととらえることもできます。

答え;3 いろんなものを出していく。溜まっていたものを吐き出す。今まで抑えてきた感情、思い、等も。 性格が変わったように見える場合もあります。いよいよの段階になると大量の便や尿も出ます。高熱が出ることもあります。

答え;4 呼吸が荒くなります。超高齢者の場合は呼吸がゆっくりとなり徐々に回数が減ってくる人もいます。

 

質問;いつ頃から始まるのですか

答え;答え4は最期の段階の話です。1-3はひとによります。癌を患っている方は最期の1か月階段を駆け下りるように変化します。

 

人間の最期は苦しみますか?とよく訊かれます。自身の人生を振り返り、辛いことがいっぱいあったのならそれを思い出すかもしれません。しかしそんな過去も吐き出して楽になって旅立つものだと、私は今、考えています。私は5千人近くお看取りさせていただいて、ほとんどの人が安らかに幸せな気持ちで最後を迎えているように感じます。

 

 

虐待について・・誰が決めるの?

2025年03月03日

質問;虐待って、いったい誰が認定するのですか?

答え;厚生労働省のホームページ等を参照して概要をつかんでください。根本を言うと、虐待をされた側が虐待されていると感じるのが基本だと思います。しかし実際福祉の現場では本人ではなく、現場の職員が虐待判定をしています。

 

質問;認知症の方は特に口に出していえない状況にあるのでは?

答え;たしかに難しい側面はあります。しかしそれより問題なのは、福祉関係者は虐待の判定をする一方で、福祉関係者自身が無意識的に虐待を行っている可能性があるのでは、と思っています

 

質問;例えばどんなところから思われるのですか?

答え;1:認知症の人が発する言葉に反応せず無視している 2:声掛け無しに(声に出していても本人に通じていない場合が多い例えばオムツ交換、女性に対して服を脱がす時、)身体的介護をしている 3:本人の意思に反して強制的に阻止行為に及んでいる;歩こうとして、ダメと言って座らせる、安全確保のためと称して、

 

質問;「いちいちそんなこと聴いていたら業務がすすみませんよ」と言われます

答え;介護業界の構造的問題ですね。効率重視がもたらす弊害。人間の感情って合理的、効率的には解決しませんから。

 

たたく、大声を出すって人間の、理不尽さ、やるせなさ、怒り、鬱屈させられた感情の発露に見えませんか?恋人に振られ、江戸川の土手で大声を出す。理不尽なことが多くて思わず机や物に当たる、壊す、等々。こんな人間的な表現を封殺しようとする世の中の流れ。人間は機械ではありません。効率や合理性を追求するあまり人間的なものが失われていく。なんとかなりませんか?

 

 

高齢者(80歳以上)に対する医療 の考え方

2025年02月03日

質問;糖尿病に関してはどれぐらいでコントロールすべきですか?

答え;甘めで大丈夫です。合併症がなければ更に甘めで大丈夫です。

そもそも正常値近くにする目的は5年10年先の合併症を予防するという意味合いが強いのです。高脂血症についても同様で甘めで大丈夫です。

 

質問;高血圧症についてはどうですか?

答え;みなさん130が頭に刷り込まれていますからこれを超えると危ない、怖いと思いがちですが、実は高齢の方、血圧高い方が元気です。高血圧薬止めたら体調が良くなったと喜ばれる経験を何度もしています。

 

質問;腰痛、ひざ痛、その他整形外科的な痛み対してのシップは?

答え;局部が腫れている場合にはシップは有効です。しかし痛みの原因の一つとして周りの筋肉が固くなって、その結果で痛みが出ている人を散見します。そこをほぐせば痛みは軽減します。シップは逆効果になります。

 

質問;癌治療は?

答え;癌と診断されると頭が真っ白になり、絶望感が漂います。だから医師に言われるがままに、抗がん剤治療にすがることは多々あります。しかし治療を拒否して自然体で生活し、かえって長生きしたのではと思わせる人達を数多く見てきました

 

85歳女性、両膝が変形して膨らんでいる、典型的な変形性膝関節症。しかし痛みの訴えは全くない。よくよく訊いてみると20年以上前からウエイトリフティングをしていてスクワットトレーニングをしていたと。毎日毎日トレーニング、おかげで筋肉はたっぷりある。膝は変形しているが痛くない。おおいに参考になりますね

 

「医原病」さらに目立つ・・

2025年01月03日

質問;そもそも「医原病」とはなんですか?

答え;医療行為そのものが健康を害する、医療側が病をコントロールしようとしてかえって増悪する病を言います。1970年代に  イヴァン・イリッチという哲学者により提唱されました。昔からアメリカでは指摘されていたのですね。

質問;具体的にはどういうことですか?

答え;一番わかりやすいのは薬の副作用です。良かれと思って出された薬の害です。抗コロナ薬、高脂血症薬等による免疫力低下、抗がん剤による副作用死、昨今は予防接種の副作用による害が目立ちますね・・・これらを臨床的医原病といいます。

質問;まだあるのですか?

答え;はい。社会的医原病と言われるものです。例えば医療費を掛ければ寿命が延びる?のではなく、医療費が安い県の寿命が一番長いというデータから言えますね。皮肉なことに医者にかからない方が長生きするということです。健康に関する情報サービスがもたらす害も指摘しています。

質問;ほかには?

答え;はい。文化的医原病と言います。簡単に言うと「死生観」の変化。15、6世紀の西洋では「死」は自然現象であり、長生きは美徳ではなかったようです。フランスの哲学者モンテーニュは「極端な老いのもたらす死・・を期待することは無駄な思い上がり。」長生きしようとする人を思い上がりの激しい人と嘲ったそうです。今、長生きは美徳??ですよね

 

「なにか出来ることはないのですか?」と言われることがあります。「温かく見守るのが一番ですよ」の返事として。現代医療には限界があります。見守る、傍にいる、手を握る、声掛けすることが一番の心の薬になることは多いです。昔から「お手当」とはよく言ったものです。見守られる側にもたらされる安心感は計り知れませんよ