病院では無理な事

2013年05月12日

上田医院は市川市にある在宅支援診療所です。ここでは、在宅での看取りをしています。最後を白い病室でなく、住み慣れた自宅でと思う方の支援をしています。

慢性呼吸不全(肺病)で、経口接収不可能(口から食べれない)と判断され、経鼻胃管(鼻から胃まで管を通し栄養を入れる方法)で「最後は自宅で」と入院先から帰宅してきました。経鼻胃管を嫌がるので病室では手にミトンをはめられ管を抜かないように抑制されていました。

そこで、まず自宅では思い切ってミトンと経鼻胃管をはずしました。そしてゆっくりと口から食べるよう指導していきました。久しぶりの「食べ物」を嬉しそうに、幸せそうに味わっていました。そこから生きる力も湧いてきて会話も出来るようにまでなりました。ご家族は、入院してた時には想像できなかった姿だと感動してくれました。

退院して1か月、余命通り他界しましたが、最期に自宅で人間らしく、自分らしく過ごした時間はこれからも残されたご家族にとって素敵な思い出として残ると思います。

ご冥福をお祈りいたします。

老人ホーム「我が家」での過ごし方

2013年04月15日

4/8~入居が始まり1週間が経ちました

ここの(市川市 上田医院 付属)有料老人ホーム「我が家 中国分」に来るまで、車いすで移動してた方は、お1人で行きたいところへ行けず、ヘルパーさんに移動してもらってました。そこで早速「いざりばい」をリハビリスタッフと練習しました。まだ部屋まで30分位かかりますが、ご自分で移動できるという素晴らしい自由を思い出してくれたと思います。

認知症がひどく食べ物や空腹の認識がなく自力での食事摂取は無理。食事介助必要。という前情報の方も、医師の指導の下、適度な空腹感より、手を口に持っていく動作が見られてきました。無意識に食べさせられる事より、お腹が空いたから食べる、食べる幸せを思い出してほしいです。

支持が全く入らない、嚥下機能低下で食事全介助の前情報の方も、看護師が食事内容を見直し、ゆっくり食べる、ゆっくり話を聞くことで、何が食べたいか言えるようになり、さらにご自分の手で食べる事を練習できています。次は「なす」次は「ごはん」と意志表示をする。それをご自分で食べる。これは会話なく食べさせられてしまうのとは全く違います。


ご本人様のペースでゆっくりと自由に自分で出来る事をして生きていただく。

老人ホーム「我が家中国分」のスタッフが出来る事は、そっと傍で見守ること。

ご本人様の出来る事を奪ってしまわないように、意思、意欲、自立、を大切に、でしゃばらず、やりすぎず、受容の心で寄り添っていきたいと思っています。頑張りま~す!

有料老人ホーム 我が家中国分 竣工式

2013年04月06日

平成25年4月5日 無事 竣工式 が終了しました。

7年前、夫婦二人で始めたちっぽけな往診だけの上田医院は、診療所を持ち、訪問看護やケアプランを始め、続いてデイケア、そして、今春、平成25年、デイサービス、福祉用具、ヘルパー、有料老人ホームを運営するまでに成長しました。なんと7年で従業員は2人から、約70人位になりました。


これも全て上田医院を応援し、支えてくれた皆様のお蔭です。ありがとうございます。

ますます、責任を感じ、地域のお役に立てるように、スタッフ一同心を一つに頑張りたいと思います。今後も引き続きご支援、よろしくお願いいたします!!

 

市川市長 大久保 博様を初め、社会福祉協議会会長 伊与久美子様、県議会議員 水野文也先生、坂下しげき先生、市議会議員 寒川一郎先生、越川雅史先生、前市議会議員 石原みさ子様、市川市自治会連合協議会副会長 人見孝男様

各関係者 千葉銀行船橋支店執行役員支店長 鈴木昌広様、平山建設代表取締役 平山秀樹様、アーバンアーキテック 安斉慎一様、株式会社友愛ハウジング 代表取締役会長 上野勝幸様、株式会社デザインスタジオ・スピン 代表取締役社長 小市泰弘様 他

お忙しい中、竣工式にご参加いただき、ありがとうございました。

 

いきいきと生きてほしい

2013年03月23日

一日でも長く生きてほしい と いきいきと生きてほしい ではどちらも同じようで、かなり違う気がします。

 

1日でも長く生きてほしい と望む家族は、例えば「毎日3食1400Cal、塩分調整でお願いします。」 と言います。

いきいきと生きてほしい と望む家族は、例えば「おはぎが好きなんです」と言います。

 

1日でも長く生きてほしい と望む家族は、例えば「転ぶから目を離さないでください」と言います。

いきいきと生きてほしい と望む家族は、例えば「よたよただけどお散歩が好きなんです」と言います。

 

どちらもとても家族への愛情がありますが、上田医院の作る有料老人ホーム「我が家中国分」は、いきいきと生きてほしいと願う家族のために作りました。

ご理解、ご協力、お願いいたします。

 

有料老人ホーム 我が家 中国分

2013年02月16日

上田医院から徒歩3分の場所に作っている有料老人ホーム「我が家 中国分」が完成してきました。

この我が家のデザインは中国分出身のリッツカールトンなどの5スターホテルのデザイナーで、世界的に有名な小市氏が協力してくれました。

森に囲まれた静かでぬくもりを感じるリビングは、池の水に癒され、夜になると水面を揺らすライトで幻想的な時を過ごしていただけるような空間になるよう作っていただきました。

平成25年4月5日(金)PM14:00~・6日(土)AM10:00~・7日(日)AM10:00~ は内覧会です。

ぜひ見に来てくださいね!

 

小市氏の会社「デザインスタジオ スピン」 http://www.ds-spin.com/

 

 

病は気から

2013年02月05日

市川市で在宅で過ごしているガン末期の方をたくさん診させていただいています。

 

先日、乳がんの末期の患者様がご自宅で他界されました。

一人暮らしの生保50代独身女性の方でした。一般的には、乳がん末期と診断されると、激しく落ち込み、私たちは精神的ケアに一番時間を使うのですが、この方は幸い精神疾患もあり、癌であることも病院に行くことも薬を飲むこともすぐ忘れてしまうのです。そして朝からお友達を呼んでお酒を飲んで楽しくやっているような方でした。電話もないので約束の時間に訪問したらいなかったりと、いろいろ困らせてもくれました。(笑)

だからだと思います。医者から宣告された余命も関係なく生き、泣くこともなくおもしろおかしく周りをなごませ、改めて気持ち次第ではこんな癌末期の生活も可能なんだなと「気持ちと身体」の関係を考えさせられました。そしてある日、訪問したら息をしていませんでした。

5年近く訪問していたので、淋しくなりますが、思い出すと心が温かくなるような、そんな生き様を見せてくれました。ありがとうございました。ご冥福をお祈りいたします。

雪かき

2013年01月15日


昨日は大雪でした。

朝、いつも通り出勤すると、すでにたくさんのスタッフが自主的に早く来て雪かきをしていました。

上田医院に来院してくれる方のために、訪問に出かけるために。

どんなに雪で道路状況が悪くても、行かなければならない利用者さんが待っています。

朝カンファは青空カンファで済ませ、スタッフは自転車やバイクや車で、そろそろとそれぞれ出動していきました。

頑張って皆様の所へなんとか行きますので、遅れてしまう場合もあると思いますが、待っててくださいね!



上田医院の考える老人ホーム

2013年01月12日

上田医院がここ市川市中国分にOPENする有料老人ホーム「我が家 中国分」は、上田院長の考える医療の在り方、生命力の素晴らしさ、院長やスタッフが、数多くの看取りを経験し、感じた大切なことを形にしたホームにしたいと思っています。

恵まれた環境を生かした自然の中で、ゆっくりとした自分の時間を、自分の意志で過ごしていただくことで、生きている幸せを感じていただけたらと思います。一人では生活できないけれど、出来る事はあるはずです。そして、役に立つことも、人に感謝されることも、必ずあるはずです。それらは生きる意欲としては大切な要素です。

「我が家 中国分」はお1人では生活出来ない方が集まって、共同生活をしていただきます。人間らしいふれあいや、ぶつかりあい、そして気遣いや感謝を、嬉しかったり、腹立たしかったりしながら、お互いに少しずつ許し合って、譲り合って、笑って過ごしていけるような、居心地のいい自分の場所がしっかりとある「我が家」にしていきたいです。

頑張ります!

 

今年もよろしくお願いいたします

2013年01月04日

また、新年が始まりました。今年もよろしくお願いいたします。

さて、今年もたくさんの年賀状ありがとうございました。

その中で、手足が不自由になり、耳も聞こえなくなり、話も出来なくなってしまう難病になり、5年闘病生活が続いてる患者様が、娘の手を借りて1文字づつ時間をかけて、年賀状を書いてくれました。普段のケア中には意志の疎通が難しいので、いただいた年賀状にはスタッフ一同感動しました。

毎日、どんな気持ちで生活しているか、患者様になりかわることはできませんが、これからも、そっと寄り添って、出来る事をほんの少し傍でさせてください。そして、なにげない毎日がどんなに大切かを教えてください、、、

 

以下要約してますが、ご紹介いたします。

 

私は耳が聞こえないし、言葉をしゃべれないので話が出来ません。病状は寝たきり歩けなく、風呂に入れないしトイレにも行けません。週に1回3人の看護師さんに風呂へ入れてもらい、トイレは週3回看護師に面倒見てもらいました。このほか週に2回体の手足のマッサージも受けました。

お医者さんは月に4回訪問して面倒を見てくれました。寝ているよりコンピュターでゲームをして遊ぶ時間が増えました。ゲームをしてると医師は病気に対してタフに頑張っていると説明しました。

病気になってもう5年以上になります。実は早く亡くなりたいと思ってましたが、これが現実です。これからはどうなるか気にかかっています。皆様にとって私は本当に奇妙な存在ですね。また来年年賀状が書けるでしょうか。皆様どうぞお元気でお過ごしください。

寿命について

2012年12月23日

市川市にある上田医院(在宅支援診療所)では、在宅でのかなりたくさんの看取りをしながら、

寿命について考えています。


年をとると、しわが増える。腰が曲がる。耳が遠くなる。眼が悪くなる。すたすた歩けなくなる。よたよたする。おもらしするようになる。物の名前が出てこなくなる。物忘れが激しくなる。あっちが調子悪い。こっちも調子悪い。

どこが悪いんだろう?不安になって検査にいく。病気なら治るはず!また前みたいに戻るはず!寿命が来る最期の瞬間まで元気で歩きたい!今は医学も進歩しているから、必ずいい方法があるはず!

でも私は、言い方は悪いけど、少しずついろんなところがオンボロになって、最後に、寿命が来るんではないかと思っています。

そうやって少しずつ衰えていく自分を認め、許容し、慈しみ、労わる。衰えていく自分を否定したり抵抗しないで、そんな身体とうまく共存しながら、ありのままの自分の身体、今まで頑張って動いていてくれた身体を自愛してあげて欲しいなと思います。